素材:陶、金属 サイズ:H1400×W1600×D1200mm
私たちは常に情報に触れながら生きている。無意識であっても意図的であっても吸 収した情報は私の体を膨らまし、動きは愚鈍になってゆく。繋がることに特化した この世界で、人々はアクセスすることに少し疲れているかもしれない。
おおらかな佇まいで観者を迎えるかたちは、背後に回り込むと途端に露骨な傷口を顕にする。内部は釉薬により黒光りしながら毒気を放つ。その態度は観者が作品と向き合う距離や角度によって、刻々と変化するかのようだ。頼もしく、痛々しく、あるいはよそよそしく振る舞う。作者は講評時に「ジオラマ」という語を洩らしていた。なるほどこの対峙の仕方による時空の振幅を直感してのことだろう。 単体のやきものでこの規模を実現させる身体とモノの十全な関わりは、実感を伴った確証を作者に与えた。本人が語るように情報過多やsnsによる疲弊が表現のきっかけだとしても、この確かさを呼び寄せながら生まれた本作は、自らの経験や同時代の生き方を、負傷しながらも肯定しているのだろう。
作者によるコメント
私たちは常に情報に触れながら生きている。無意識であっても意図的であっても吸 収した情報は私の体を膨らまし、動きは愚鈍になってゆく。繋がることに特化した この世界で、人々はアクセスすることに少し疲れているかもしれない。
担当教員によるコメント
准教授・塩谷 良太
おおらかな佇まいで観者を迎えるかたちは、背後に回り込むと途端に露骨な傷口を顕にする。内部は釉薬により黒光りしながら毒気を放つ。その態度は観者が作品と向き合う距離や角度によって、刻々と変化するかのようだ。頼もしく、痛々しく、あるいはよそよそしく振る舞う。作者は講評時に「ジオラマ」という語を洩らしていた。なるほどこの対峙の仕方による時空の振幅を直感してのことだろう。 単体のやきものでこの規模を実現させる身体とモノの十全な関わりは、実感を伴った確証を作者に与えた。本人が語るように情報過多やsnsによる疲弊が表現のきっかけだとしても、この確かさを呼び寄せながら生まれた本作は、自らの経験や同時代の生き方を、負傷しながらも肯定しているのだろう。