百足

素材:銅 
サイズ:2000×300×3000mm

野口 勇哉Noguchi yuya

作者によるコメント

薄い銅の板を金鎚で叩いて形づくることも、紙を手で折ってつくり上げることも、私にとっては似たものでした。折り紙の無駄を削ぎ落した成形と、金属の可塑性と頑強性を活かすことで、自立した表現に昇華してほしいという願望も含めてこの作品に向き合いました。自分がつくるものとして、納得できない部分は極限まで排除して、それでも至らない部分は私がつくる意義だと受け入れて、今の自分の最善といえる作品にできたと、そう思います。

担当教員によるコメント
非常勤講師・澤田 将哉

野口勇哉の作品は、一見すると折り紙と同様に、銅板を折り曲げることで形づくられている様に見えますが、全ての工程が折り曲げ加工のみで表現されている訳ではありません。本作における注目点は、銅板を実際に折り曲げなくても意匠としての“折り目”を鏨や溶接により施すことで、紙のような質感の再現が可能であるという閃き、さらに言えば、折り曲げる工程を短縮することで、作業の効率を向上させた作者ならではの器用さを感じられることでしょう。 野口はものづくりを通して自分の限界を知り、同時に自分自身が物を作る意味を探求していますが、そうした彼の実直な取り組みが完成度のある作品を生み、結果として高い評価を得ることに繋がりました。

薄い銅の板を金鎚で叩いて形づくることも、紙を手で折ってつくり上げることも、私にとっては似たものでした。折り紙の無駄を削ぎ落した成形と、金属の可塑性と頑強性を活かすことで、自立した表現に昇華してほしいという願望も含めてこの作品に向き合いました。自分がつくるものとして、納得できない部分は極限まで排除して、それでも至らない部分は私がつくる意義だと受け入れて、今の自分の最善といえる作品にできたと、そう思います。

野口勇哉の作品は、一見すると折り紙と同様に、銅板を折り曲げることで形づくられている様に見えますが、全ての工程が折り曲げ加工のみで表現されている訳ではありません。本作における注目点は、銅板を実際に折り曲げなくても意匠としての“折り目”を鏨や溶接により施すことで、紙のような質感の再現が可能であるという閃き、さらに言えば、折り曲げる工程を短縮することで、作業の効率を向上させた作者ならではの器用さを感じられることでしょう。 野口はものづくりを通して自分の限界を知り、同時に自分自身が物を作る意味を探求していますが、そうした彼の実直な取り組みが完成度のある作品を生み、結果として高い評価を得ることに繋がりました。