ゆえに Ⅲ

素材:やきもの 技法:ろくろ
サイズ:H200×W150×D150mm

後藤 茉緩GOTO Mahiro

作者によるコメント

淡いオレンジの間からみえる白いはだ。 無数の粒に包まれるからだ。 そっと私に微笑みかけるかお。 柔らかな空気が私とあなたを包み込む。

担当教員によるコメント
教授・尹 煕倉

指先ほどの小さな粘土塊をロクロで無心に作り続けて、それが集合体になった様子に、後藤は心引かれたという。濡れた粘土の粒の密集には、手仕事の微妙な揺らぎが視線を魅了する力として立ち上っていたのかもしれない。素材が手との関わり合いの中で見せる不思議な表情に後藤の感性は煌めいたのだろう。作り手にとっての幸せな瞬間だったはずだ。しかし、後藤の視線を魅了した力は、彼女が初めに見つけた集合体をそのまま再現しても、人には伝わらない。そこで後藤は赤ちゃんに感じてきた愛おしさを、肌、口元や頬、姿として援用し、「触れたくなってしまう存在」として両者を繋いだ。着想から作品に構築していく難しい過程に注いだ膨大な作業量は、小さな作品に確かさと強さを与えている。

淡いオレンジの間からみえる白いはだ。 無数の粒に包まれるからだ。 そっと私に微笑みかけるかお。 柔らかな空気が私とあなたを包み込む。

指先ほどの小さな粘土塊をロクロで無心に作り続けて、それが集合体になった様子に、後藤は心引かれたという。濡れた粘土の粒の密集には、手仕事の微妙な揺らぎが視線を魅了する力として立ち上っていたのかもしれない。素材が手との関わり合いの中で見せる不思議な表情に後藤の感性は煌めいたのだろう。作り手にとっての幸せな瞬間だったはずだ。しかし、後藤の視線を魅了した力は、彼女が初めに見つけた集合体をそのまま再現しても、人には伝わらない。そこで後藤は赤ちゃんに感じてきた愛おしさを、肌、口元や頬、姿として援用し、「触れたくなってしまう存在」として両者を繋いだ。着想から作品に構築していく難しい過程に注いだ膨大な作業量は、小さな作品に確かさと強さを与えている。